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<title>「二十歳になるまで、死にません。」</title>
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<description>本頁に記載されてゐる情報は実在する人物・団体・固有名詞と一切関係ありません。喩え見憶えがあったとしても唯の他人の空似です。</description>
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<description> 江戸川乱歩春陽堂書店出版の全作品と、装丁の銅版画集が欲しいから明日になったら買いに行く。
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<![CDATA[ 江戸川乱歩春陽堂書店出版の全作品と、装丁の銅版画集が欲しいから明日になったら買いに行く。 ]]>
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<dc:creator>川西 信吾</dc:creator>
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<dc:creator>川西 信吾</dc:creator>
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<description> 『それから』、『吾輩は猫である』、『行人』、『夢十夜』が気に入った。他作品は一寸駄目だ、否、一寸どころか、夏目漱石と言えど全然駄目だ。『吾輩は猫である』は中でも、簡単な文体なのに一番難解だった。尚に分厚い。相当苦労させられた。全作品で、それでも『吾輩』は断然面白い。筋が無いので、全く肩が凝らない。どれ位面白いかと言うと、マルチが恋人と初めてキスをする滑稽な日記を想像するくらいに面白い。『それから』
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<![CDATA[ 『それから』、『吾輩は猫である』、『行人』、『夢十夜』が気に入った。他作品は一寸駄目だ、否、一寸どころか、夏目漱石と言えど全然駄目だ。『吾輩は猫である』は中でも、簡単な文体なのに一番難解だった。尚に分厚い。相当苦労させられた。全作品で、それでも『吾輩』は断然面白い。筋が無いので、全く肩が凝らない。どれ位面白いかと言うと、マルチが恋人と初めてキスをする滑稽な日記を想像するくらいに面白い。『それから』は最後場面の"赤"が、憎い。転じて全く明るくない作品で、冒頭から物語の破綻の兆を存分に匂わせておいて、それでいて平凡な物語が中盤だらりだらりと鈍行列車の如く続くと思いきや、最後らへんでぴしゃりと高等遊民の主人公の生活が完全に瓦解、断崖絶壁に物語列車は差し掛かり、谷底にあれよあれよと転落、主人公は最終的に大変な狂気に走らされる。此処を御覧の川島さんは、主人公に全く同情しなかったと聴く。私は大変同情した。どう転じても幸福な物語には為り得ない、その展開で『行人』の主人公の絶望的な独白も宜しい。他作品は、一向に冴えない。夏目漱石の作品は随分前振りが長い。何卒齢十九の高血圧に全く馴染まないと気づいたのは『明暗』の壁に当たってである。「倫敦塔」「草枕」には辟易した。老人ぐらいに俳句通暁していないと、風流を解さないと、大量の漢語智識がないと全く内容が了解できない仕組みになっているし、何せそれを抜きにしても全く可笑しくとも、何とも無い。<br /><hr size="1" /><br /><table style="width:75%;border:0;" border="0"><tr><td style="border:none;" valign="top" align="center"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4101010056/fc2blog-22/ref=nosim/" target="_blank"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/51NHPM12E5L.jpg" alt="それから (新潮文庫)" border="0"></a></td><td style="padding:0 0.4em;border:0;" valign="top"><a href="http://blog.fc2.com/goods/4101010056/fc2blog-22" target="_blank">それから (新潮文庫)</a><br />(2000)<br />夏目 漱石<br /><br /><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4101010056/fc2blog-22/ref=nosim/" target="_blank">商品詳細を見る</a></td></tr></table><br />　「突然『こゝろ』をペチンと教科書で読まされて、何だ何だイゴイズムは不可ませんたあ全体何事だあオイ、それにしたって前迄紙幣に鎮座してた威張面がこんな詰まらんのを永遠書いていたたあ、その恥知らずに涙がチョチョ切れらぁ、俺様の悲憤慷慨も甚だしいぜ、え？、何が面白いかちっとも承知できん、大体読んでも全然詰まらんと来りゃ、書く奴も書く奴であんな詰まらんのを最後まで書き通しただなんてその正気の沙汰にゃあ最早笑いが止まらんわアハハハハ！」、と、以上の如く夏目漱石を高らかに哄笑の後に冒涜、冒涜の後に笑殺したのは先程も御登場頂いた電話口でのマルチ君である。私はこう言う科白を堂々と言う彼を、グロテスクを通り越して、余程美しいとまで思う。<br />　深夜放送は、甘美だ。只今、夏目漱石「こゝろ」が「Death Note」の作者によって戯画化された十分程度の映像を鑑賞している。夏目漱石は自分の下宿の隣町に慶応三年に生誕している。数分の処には墓石がある。ちょいと下町の市谷に行けば三島由紀夫が自殺した自衛隊駐屯地がある。大学へ行く際に必ず降りる坂は、夏目坂である。現在戯画化されている主人公の書生は随分端正な顔立ちだ。「精神的に向上心の無い奴は莫迦だ」のKが筋骨隆々として無精髭を生やした野武士風情に描かれ、おまけに主人公の身長に較べて何尺も長身に、そして御嬢さんとなると巨乳の阿呆、その母方となればKを忌み嫌う異様な程、厭味たらしい婆となっている。全てが可笑しく、全てが自棄にデフォルメされている。大変だ、たった今、Kと御嬢さんが同衾した。夏目漱石が現代に生きてこの深夜放送を見たならば、間違いなく大量喀血でなく、自殺で再度死んでいたに相違在るまい。何と言う冒涜だろう。科白も全然違う。Kも先生も全然違う。何と言う誤読だろう。とんでもない深夜放送的解釈で夏目漱石が冒涜を受けている。どうも「人間失格」も同じ様な感じで戯画化されたモノが映画上映されると言う。嗚呼今度は御嬢さんがKと駆け落ちを計画していたと言うことになっている。てんで、ちゃんちゃら、可笑しい。こう言う解釈も成り立たない事は無い。Kと御嬢さんが婚前交渉した可能性はある。Kに御嬢さんの母親からさっさと部屋を出ろと言った可能性はある。Kが御嬢さんと結婚できないのを知った故に自殺した可能性はある。だが全部在り得ない。<br />　マルチ君の御高話はさて置いても、夏目漱石は何度も読む自分である。現代作家は、一切読まん。 ]]>
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<dc:creator>川西 信吾</dc:creator>
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<description> 東京湾に煙草を三本吐き棄て、赤煉瓦倉庫発の国鉄終電に乗り込まんと急げば、先程迄同じ仕事を、否、と言うよか、最も下等な人間が上等な人間の為に負うた罰作業の様な仕事を共にしていた男性が、「一寸、君、待てえ」と云った風情でパタパタと背後から追い掛けて来た。余程見棄てようかと思った。愛煙家は同じ銘柄をポケットに入れた人間を、昨日迄の見知らぬ人間であれど今日は類稀なる大盟友として持て成す。彼は私を一日にして
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<![CDATA[ 東京湾に煙草を三本吐き棄て、赤煉瓦倉庫発の国鉄終電に乗り込まんと急げば、先程迄同じ仕事を、否、と言うよか、最も下等な人間が上等な人間の為に負うた罰作業の様な仕事を共にしていた男性が、「一寸、君、待てえ」と云った風情でパタパタと背後から追い掛けて来た。余程見棄てようかと思った。愛煙家は同じ銘柄をポケットに入れた人間を、昨日迄の見知らぬ人間であれど今日は類稀なる大盟友として持て成す。彼は私を一日にして簡単にそれにして見せた。六時間前に年齢を訊き、三時間前に経歴を訊き、一時間前に彼の本名を覚えた筈だが、東京湾の真黒な口に煙草を弾き入れた瞬間、彼の全てを自分は綺麗に忘れ去って仕舞っていたので、全体困惑した。消灯寸前の改札で、二枚の切符を買い、鉄道員の怒鳴り声に苦笑しながら息絶え絶えの彼に一枚手渡すと「君、気が利く」と不図褒められ、そうして彼と自分は改札を潜って同じ列車の同じ列席に坐った。私は彼が坐るのを待って、その手前に坐ろうとしたら、この男は立ち上がって私の隣に坐り直した。終電だから、我々を除いた乗客が一人も見当たらない。隣には、小柄で、真面目な顔をして、私より二十歳は違うだろう人間、それも先程「息子と同じ年齢だ」と云ったのだから間違いは無い、無論左手には指輪がある、そうして随分日焼した、不潔な褐色を湛えた顔面が、今迄の全ての彼の労働の質を仄めかしているのに異様に目だけが少年の様に光っている。橙色切符を一枚、太った銀杏の右手で固く握り締めているのを不憫気に私が見詰めていると、「せやせや」と彼は徐に財布を取り出して、自分の片手に小銭を握らせようとする。その小銭の正体を知るのに、私は何秒も掛かった。「や、何かの縁ですから」と手前勝手な科白を並べて断ると、「そないなこと言いなや年柄でもあらへんあんまり上品言われても敵わん」と、京風言葉で彼は小銭を鼻に押し付けるので、「東京駅に下りたら缶珈琲を奢って下さい」と突き放すと、「ほなそうしまひょ」とやっと彼は承知した。「ところで君、何してはるんや」と突然彼が問うので、「東京湾は全体綺麗なんでしょうかね」などと窓の向こう側について呆然と放言すると、ちゃうわいなちゃうわいな仕事や仕事と彼が問い直すので、いえ何にもしておりませんと応えた。これ以上、近寄られては敵わない。だから私は全ての言葉を先程から標準語で敬遠している。すると「そら親不孝やがなあ兄ちゃんほら自分もほんま何もせえへん息子おるねんけど金掛かってほんましゃあないったらないでんで莫迦息子ほんま困る言うたら並みの事やありませんでいやほんま」と、余程話の根拠が無いのか隣の男は先程からほんまほんまを間髪入れずに繰り返す。東京駅に着くと、「ちいと来なはれ」と彼の手招きに任せて、自動販売機の前に立たされ、彼が太過ぎる指で小さな財布から小さな小銭を一枚一枚取り出すのを見るのに耐えなかったから、私は東京駅構内の地図を見るともなく見ていた。突然缶珈琲が目許に来たので、私は受け取って、一息で呑み込むか部屋まで持って帰るか考えた結果、プチリと蓋を折って一息で珈琲を呑み込んだ。「ん、若い若い、ええ絵ですわ」と彼は要らない事を言う。最初から彼に変な親切をしたりするんでなかったと、悔いておらんこともなかった。 ]]>
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<description> 文学部書見室に這入りました。詰まらない顔をした司書が蠢動する受付は一階で、法学・経済学・社会学ら、退屈な実学は二階に、三階は古典文学、最後に神学・心理学・哲学は最上階に、そうして真蒼な大空が窓から見える。其処からの景色を、神戸の大空と描き換えたら、何も不安な事は自分にありません。階段を踏めば踏み上がる程、椅子に陣取る大学生の顔も衒学的になる。だって天に近くなるのだから、それはもう当たり前の事なんで
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<![CDATA[ 文学部書見室に這入りました。詰まらない顔をした司書が蠢動する受付は一階で、法学・経済学・社会学ら、退屈な実学は二階に、三階は古典文学、最後に神学・心理学・哲学は最上階に、そうして真蒼な大空が窓から見える。其処からの景色を、神戸の大空と描き換えたら、何も不安な事は自分にありません。階段を踏めば踏み上がる程、椅子に陣取る大学生の顔も衒学的になる。だって天に近くなるのだから、それはもう当たり前の事なんです。実践理性批判を拡げて、死にそうな顔をしている女学生がいる。暴力批判論を置き放して、何処かに行方を暗ました中年男性がいる。アンチ・オイディプスを原文で拡げる無謀な末輩がいる。放課後は四階の其処の椅子に一個坐って、空学の学徒に囲まれながら、世界中を軽蔑しつつ永遠と小説を読みます。そうしたらもう恋人と、今直ぐ、接吻がしたくて堪らない。恋人と逢ったら誘拐でも拉致でも監禁でも何でもして、否、そんな剣呑は失敬だから全体大人しくしていよう、ああこんな事を考えている自分はこの建物の中にいる全人間の中で最も下等で下劣で下品で、隣の人間に憫察されたりしてしまったら最大級の恥辱だ、否、だからと虚勢を張っても恋人とキッスがしたくて堪らない、ではどうすればいいと悶々していたら、蒼が赤になる、赤が灰になる、灰が黒になる、即ち夜になる。遂に一個の小説から美学も美文もレトリックも何にも読み取れたモノではない、全体自分は仕様も無い、即ち合点して、短銃でも手にしたら余程愉しかろうに、そうして自分は革鞄に小説を入れ直して外に出る。 ]]>
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